45歳ぐらいからの10年ほどの期間は更年期と呼ばれ、心身の不調を訴える女性が多くなるタイミングとしてよく知られています。ただ一口に更年期と言っても、漠然としすぎていてどんな症状が出るのか、自分が今悩まされているものが更年期によるものなのか、いまいちよくわからないという方も多いのではないでしょうか?今回の記事で症状を確認すると同時に、自分の症状が更年期に当てはまるのかどうかセルフチェックをしてみましょう。
更年期特有の症状として、真っ先に思い浮かぶのがホットフラッシュ、いわゆるのぼせや大量の発汗です。中には上半身は暑くてたまらないのに、下半身は冷えているというケースもあります。これは自律神経のバランスが崩れ、血行が悪くなり、体温や発汗の調節機能が乱れることが原因と考えられています。
ちょっとしたトラブルで落ち込んだり、怒りっぽくなるかと思えば、急に悲しくなって泣き出したりといったように、感情のコントロールができなくなる症状です。放っておくと、肩こりやのぼせ、不眠などの症状も悪化しやすくなり、本格的なうつ病につながることもあります。
ズキズキとした拍動を感じる偏頭痛をはじめ、頭痛や耳鳴り、目の疲れなどの引き金になる肩こり、腰痛も典型的な症状です。女性ホルモンの低下により、血流が悪くなったり、筋力が落ちたりすることで、痛みの原因となる疲労物質がたまりやすくなることが原因といわれています。
多くの原因は、女性ホルモンの低下により、膀胱を支える骨盤底筋が弱くなることと考えられています。ただし、頻尿は更年期に限らず、どの年代にも起こりやすいものです。膀胱炎や過活動膀胱などの病気の可能性もあるので、できれば早めに専門医(婦人科・更年期外来など)で診てもらうようにしましょう。
寝付きが悪い、眠りが浅く何度も夜中に目が覚める、睡眠時間は十分なのに疲れがとれないといった症状も、更年期に起こりやすい症状です。不眠は、疲れやだるさ、イライラや落ち込み、冷えなど、他の症状の悪化も招くため、早めのケアが必要です。
肌が乾燥しやすくなり、手足や背中などに痒みが出てきます。また、かきむしってしまうことによる傷や腫れも、悩みの一つとなります。痒みで眠れない、肌が弱くなりちょっとした刺激にも敏感になるといったことも、更年期障害の代表的な症状です。
以上の他にも、ドライアイ、めまい、耳鳴り、ドライマウス、関節痛などさまざまな症状があります。また、更年期は女性だけのもので男性には関係ない、と思っている方は要注意ですよ。男性にも、何もやる気が起きない、朝の目覚めが悪い、だるいなどの症状が出る「男性更年期障害(LOH症候群)」という更年期障害があると言われています
特に中高年の働き盛りの年代でこのような症状を訴えていたら、LOH症候群を疑ってみましょう。うつ病と診断されていた男性が、検査をしてみたら更年期障害だったという事例もあるので、一度検査を受けてみることをおすすめします。
さて、この様々な症状の中でも、今回は「イライラ」にスポットをあててみたいと思います。もともと楽天的だった人が更年期を迎えて、人が変わったように落ち込みがちになったり、些細なことでイライラするようになったり。そういったことは、決して珍しいことではありません。更年期になると、感情のコントロールがしにくくなることがあるからです。
こうした更年期特有の症状の原因は、いったいどんなものなのでしょうか?
更年期を迎えると卵巣の機能が低下すると同時に、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量も減少し始めます。脳はエストロゲンの分泌を促すために、性腺刺激ホルモンを出すように指令を送るのですが、卵巣の機能自体が低下しているので、性腺刺激ホルモンをどれだけ分泌しても、エストロゲンは一定以上は増えません。このため、需要と供給のバランスが崩れ、ホルモンのバランスだけではなく、自律神経のバランスも崩れやすくなります。
また、エストロゲンには精神を穏やかに保つ働きがあるので、減少することで不安感やイライラなどの精神的な症状が出やすくなります。さらに、仕事や家庭などで受けるさまざまなストレスによって自立神経のバランスが崩れることも、更年期症状の原因の1つといわれています。
イライラしてばかりいては、本人はもちろんですが、周りにいる人も不快にさせてしまいます。そこで、イライラを解消する方法をいくつかご紹介します。心と身体は互いに影響しあうものですから、イライラ解消だけではなく、身体の不調の改善にもつながるはずです。
更年期の症状はホルモンバランスの乱れが原因ですが、病院へ行くほどではないからと我慢している方も多いのではないでしょうか?できれば甘く見ずに病院に行ってほしいところですが、どうしても行きづらければ整体やマッサージに行ってみましょう。更年期障害には身体の歪みや硬さが関係していることもあるので、そういった身体的な不調を改善することで更年期障害の症状の緩和にも期待がもてるからです。また、病院で薬やサプリメントを処方されてもなかなか改善されない際に試してみてもいいですね。
カルシウムなどのミネラルには、気分を安定させる効果があります。ミネラルは体内では作ることができないので、カルシウムを多く含む牛乳、チーズなどを積極的に食べましょう。また、イライラが続くときはビタミンCの補給を心がけてください。グレープフルーツ、イチゴ、キウイなどのフルーツを意識して摂るとよいでしょう。
セロトニンはイライラを解消する働きのあるホルモンですが、朝の太陽を浴びることで分泌が活発になるといわれています。少し早起きをして、朝日を浴びる習慣をつける。また、軽い運動やウォーキングなどもおすすめです。
好きな香りをかぐことで、気分を落ち着かせることができます。ローズやゼラニウム、オレンジなど元気が出る香りを部屋に取り入れたり、バスオイルに使ったり、温かいハーブティーを飲むのもいいですね。
身体を温めることは安心感につながります。腹巻きなどをしてお腹を温めたり、根菜がたっぷり入ったスープを摂ったりするとよいでしょう。また、冷えやすい手をマッサージして血行をよくすると、気持ちが落ち着いてきます。
更年期は誰にもあるものですが、辛い症状を少しでも和らげられれば、もっと楽しく明るい更年期を過ごせるはずです。我慢したり諦めたりせずに、すぐにできることから始めてみてくださいね。