ズキズキとこめかみが痛む頭痛は、とても辛いものですね。頭痛とひと口で言ってもさまざまな種類がありますが、こめかみが痛くなる頭痛は、はっきりとした原因のない「一次性頭痛」とされています。これは風邪など別の病気のひとつの症状として現れる「二次性頭痛」と区別して考える必要があるでしょう。
こめかみが痛む頭痛は、「片頭痛」と「筋緊張性頭痛」が主な症状と考えられます。こめかみの頭痛で悩んでいる人のほとんどが、この2つであると言ってよいでしょう。まれには「群発頭痛」ということもありますので、それぞれの頭痛タイプについて解説します。
・片頭痛
片方のこめかみがズキンズキンと脈打つように痛むのが片頭痛です。20〜50歳代と幅広い年代の女性に多く、月経周期ごとに片頭痛がみられることもあります。多い人では毎日起こる場合もあります。また、左右どちらかのこめかみが痛むことが多く、首こりや肩こりなどを伴うこともあります。ひどいときには吐き気や嘔吐などの症状が出ることも。ストレスなどで頭の中の血管が拡張することにより、炎症を起こしてこめかみなどが強い痛みを引き起こすのが片頭痛の原因です。
・筋緊張性頭痛
両方のこめかみが締め付けられるように痛むことが多いのが「筋緊張性頭痛」です。精神的な緊張などで起こる、鈍くて持続的な頭痛で、頭全体が締め付けられる、あるいは後頭部が張っている感じがするのも、この頭痛の特徴です。同じ姿勢で長時間作業をするなど、頭から肩にかけての筋肉に負担がかかることが原因です。
・群発頭痛
20〜40歳代、女性より男性に多い頭痛です。一度起こると1~2ヶ月間、毎日何回も痛むことがあり、決まった時間、決まった片側が痛みます。目をえぐられるような激しい痛みや目の奥やこめかみにも強烈な痛みを感じることも。また群発という名称の通り、繰り返し起こり、とくに明け方に起こることが多い頭痛です。片頭痛と同じように、頭部の血管が広がることが影響していると考えられています。また、気候・気圧の変化、飲酒や喫煙などが引き金になることが多く、生活習慣の乱れが群発頭痛を引き起こす体質になりやすいと言われています。
それぞれに原因がありますが、こめかみが痛くなるという共通の症状をもつ頭痛の原因として考えられる要素をまとめてみました。
・食事
チョコレート、チーズ、ハム、赤ワインなどに含まれる「チラミン」という成分は、血管を拡張させる作用があります。食べすぎは片頭痛の原因になります。
・肩こり
肩こりがあると頭から首にかけての筋肉に負担がかかっていることが多く、筋緊張性頭痛の原因となっています。
・気候
低気圧になると血管が拡張して頭の神経を圧迫。これにより片頭痛が起こることがあります。
・生活習慣
寝不足が続くと脳の血管が緊張し、血流が悪化するため頭痛を引き起こします。逆に寝すぎても脳の血管が拡張することにより、血管の周囲の神経を刺激して頭痛の原因となります。また仕事や人間関係などでストレスを感じると、脳が緊張によって血管を収縮され、片頭痛の原因になることがあります。
・目の疲れ
長時間パソコンやスマートフォン、テレビなどを見るなど目を酷使すると、目の周囲の筋肉に負担がかかり、筋緊張性頭痛、眼精疲労などの原因となります。
こめかみがズキズキ痛む、そんなときすぐにできる対処法を知っておくと安心です。
片頭痛は血管が拡張しすぎていることが原因なので、血管を冷やして収縮させることがポイントです。痛い部分を冷たいタオルなどで冷やしましょう。長風呂はNGです。また、暗いところで静かに休むのもよいですね。
筋緊張性頭痛は筋肉の疲れから起こるので、血流をよくすることが大切です。痛いところを温めたり、お風呂でリラックスしたりするのも効果的。またパソコンやモニター画面を見続けないようにしましょう。適度に休憩をとりストレッチを行うなど体を動かすようにしてください。
こめかみが痛いときにはツボ押しもおすすめです。とくに筋緊張性頭痛では筋肉のコリがみられるので、その部分をマッサージしたりツボ押しをしたりするとよいとされています。主なツボの目安は次の通りですので参考にしてください。
・風池(ふうち)
耳の後ろにあるへこみの後方、首の生え際あたりのツボです。ここを少し強めに押しましょう。
・天柱(てんちゅう)
風池より少し中央寄りの硬い部分を少し強めに押します。
・頷厭(がんえん)
髪の毛の生え際の少し下あたりです。ここをゆっくりと押しましょう。あまり力を入れすぎないよう注意して。
・百会(ひゃくえ)
頭のてっぺん、頭頂部。ここを少し強めに押します。
・合谷(ごうごく)
親指と人差し指の骨が交わる少し手前の柔らかい部分。ここを少し強めに押してみましょう。
こめかみが痛くなる頭痛でも、タイプによって対処法はひとつではありません。自分の頭痛がどのタイプなのかを見極め、頭痛を起こす原因を避けることが大切です。痛みが強く出ている場合は、頭痛を和らげる「頓服薬」と頭痛の発生を抑制する「予防薬」を使用することもあります。
「頓服薬」は日常生活に支障をきたすほどの痛みを和らげる薬です。症状が軽い場合は、頓服薬だけで治療することもあります。「予防薬」は頭痛の回数や日数が多い人、痛み止めの効果があまり感じられない人、痛み止めを服用しすぎている人などに処方されます。いずれも医師の指導のもとで、正しく服用するようにしましょう。