出産後、体重は元に戻ったのに、ボディラインが変わった、崩れたと感じる女性は少なくありません。その原因は骨盤の歪みです。
骨盤は体の中心にあり、大腿骨や背骨と直結しています。そのため、骨盤が開いたり歪んだりすると、体のいろいろなところに影響が及んでしまうのです。また、骨盤の中には子宮や腸など臓器が集まっているので、骨盤が歪むことで臓器にも影響が出るようになります。それだけ骨盤は重要なパーツと言えるでしょう。
では骨盤が出産によって開くのはなぜなのでしょうか。赤ちゃんの頭囲は直径10センチほどもあり、骨盤が大きく開かないと赤ちゃんは出てくることができません。また、妊娠中〜産後は姿勢によっても骨盤が歪みやすいと言われています。妊娠中、お腹の赤ちゃんが大きくなるにつれ、いわゆる反り腰という、骨盤が前傾した姿勢になりがちです。反り腰は腰に大きな負担がかかるので、腰痛になる妊婦さんも多くいます。さらに、横座りも骨盤に悪影響を招きます。股関節がねじれ、骨盤の片方に体重がかかるため、骨盤がねじれてしまうのです。
また、産後ならではの骨盤の歪みの原因として、リラキシンの影響が考えられます。妊娠中に分泌されるホルモンで、出産をスムーズに進めるために骨盤の靭帯や関節を緩める働きをするのですが、骨盤が歪みやすくなる原因にもなっているのです。
では、骨盤が開いてしまうと体にどのような影響が出るのでしょうか。骨盤の歪みとデメリットについて、見ていきましょう。
骨盤が歪んでいると卵巣周辺の血流が悪くなり、ホルモンバランスが崩れることも少なくありません。骨盤の開きや歪みは、次のようなトラブルを招きます。
新陳代謝が悪くなると、痩せにくい体になることが多いです。
疲れがとれにくい、脚が太くなるなどのリスクが考えられます。
背中が丸くなっていると、老けた印象を与えます。
産後、体重に関わらず体のラインが変わったと感じることが多いです。
血流が悪くなるため、肩こりや腰痛が悪化することがあります。
産前に感じていなかった人でも、産後の骨盤の歪みによって引き起こされることがあります。
慢性的な便秘は、骨盤の歪みによって腸の働きが悪くなることが考えられます。
産後、ダイエットをしてもなかなか効果が出ないのも、骨盤の開きが影響しています。骨盤の歪みや開きが原因で太ったり、痛みを引き起こしたりすることもあるのです。まず、骨盤に歪みがあるかどうか、以下の項目でチェックしてみてください。
1.脚を組むクセがある
2.左右の肩の高さが違う
3.左右の脚の長さが違う
4.目を閉じて10秒間片足立ちができない
5.バッグをいつも左右どちらか同じ方の肩にかけている
6.靴のかかとの減り方が左右で差がある
7.壁を背にして立ったとき、腰との隙間にこぶしが入る
8.目を閉じて直線を歩くと、左右いずれかにズレる
2つ以上の項目に当てはまる場合は、骨盤が歪んでいる可能性がありますので、早めにケアすることが大事です。
出産を機に緩んだ骨盤を正しい位置に矯正することを骨盤矯正といいます。その方法としては、整体、ストレッチ、リフォームインナーやガードル、ウエストニッパーなどがありますが、産後の骨盤矯正に適した時期や注意点、おすすめのストレッチ、歪みを防ぐポイントなどを紹介します。
理想は産後2ヶ月から。この時期になると悪露の量も落ち着いてきて、育児にも慣れてくるため、体への意識を持ちやすくなるからです。悪露や体の回復には個人差があるので、様子を見ながら少しずつ行うようにしましょう。
また、骨盤矯正を始めるには遅すぎてもよくありません。産後時間が経つにつれて、どんどん骨盤が動いていくので、遅いと歪みを直しにくくなります。できるだけ産後6ヶ月までに始めるようにしましょう。
整体などに比べ費用もかからず、自宅で好きな時間にできるのがメリットです。難しい動きはありませんので、産後2ヶ月すぎから始めましょう。
・腰回し
両足のつま先を真っ直ぐに、肩幅に開いて立ちます。両手を腰にあて、重心を真ん中に置くようにします。この状態で腰をゆっくり回しましょう。左回し、右回しと疲れない程度に繰り返します。
・腰押し
両足のつま先を真っ直ぐに肩幅に開いて立ちます。両手を腰の横、腸骨の出っ張っている部分にあて、そのまま右に、左にぎゅーっと押します。
・骨盤底筋を鍛える
背筋を伸ばして椅子に座り、膣と尿道を意識してキュッと締めて5秒間キープ。10秒休んで、数回繰り返します。
・左右に両膝を倒す
仰向けに寝て膝を立て、両膝を揃えたまま左右にゆっくりと倒していきます。
・お尻を浮かせる
仰向けで膝を立てて脚をこぶし2つ分くらい開きます。てのひらを床につけた状態で、脚を踏ん張りお尻を浮かせて30秒キープします。
体調に問題がなければ整体院などで、プロの施術をうけるのもおすすめ。産後1ヶ月の検診を受けてから始めたほうが安心です。
骨盤の歪みを放置していると、下半身に贅肉がつきやすくなり、ダイエット効果も上がりません。骨盤矯正を行うだけではなく、日常生活の中で、骨盤が歪みにくい習慣をつけるとよいでしょう。
例えばデスクワーク。長い時間座ってすごしていると、どうしても骨盤が歪みがちですから、坐骨を椅子に真っ直ぐ立てて座るようにしてみてください。骨盤を立てて座ることで歪みを予防することができます。また、骨盤に関係するインナーマッスルをバランスよく鍛えることも大事です。産後ヨガやピラティス、ウォーキングや水泳、アクアビクスなどを取り入れてみるのもおすすめです。
骨盤が開いてしまうと自然に直すのは難しいので、産後のボディラインが気になったら、きちんとケアをすることが大切ですね。