手のひらや足先などに起こるピリピリ、チクチクする痛みやしびれは、とても不快なものですね。こうしたしびれはなぜ起こるのでしょうか。
しびれには大きく分けて、次のような種類があります。
1.感覚低下
痛い、冷たい、温かいなどの感覚や、触った感覚が鈍くなったり、全く感じなったりする
2.運動麻痺
思うように手足を動かしにくくなったり、手足に力が入らなくなったりする
3.異常感覚
手や足にチクチク、ピリピリなど普通ではない感覚が現れる
こうしたしびれが起こる原因についてまとめてみました。
◎長時間同じ姿勢でいる
デスクワーク、正座、飛行機やバスなどでの長距離旅行など
◎神経の損傷
首の神経を損傷していると腕や手にしびれが起こり、腰の神経を損傷している場合は足にしびれが出ることがあります。
◎脊髄、末梢神経の圧迫によるもの
◎血管の炎症、動脈硬化、血栓によって引き起こされる血流不足
◎カリウム、カルシウム、ナトリウムのバランスの乱れ
◎ビタミンB12不足
◎アルコールの過剰摂取、喫煙
◎放射線治療
◎昆虫、ダニなどに刺される
◎甲殻類アレルギー
◎手根管症候群
手首の神経が圧迫されて起きる症状
◎糖尿病
◎甲状腺機能の低下
◎脳卒中、虚血性発作など
主な原因のうち、とくに心配のないものもあります。たとえば起床したときの一時的なしびれは、就寝中に圧迫されて血液の循環が悪くなったもので、しばらくすれば治ります。同じ作業や機械的な動作を続ける仕事などで出るしびれも、その作業をやめ、ストレッチなどを行えば解消されるものです。
また、腕が肩より上に上がらない、肩がしびれて眠れないといった四十肩・五十肩は、肩関節の老化が主な原因。温めて動かし、可動域を広げていくことで家庭でも治すことができます。
親指や人差し指、中指がしびれる、手首が痛む、しびれるといった症状が出る場合は、腱鞘炎の一種である手根管症候群の疑いがあります。手をよく使う仕事についている女性に多く起こります。基本的には手を使わないこと、痛む部分を固定することで改善されますが、症状が長く続くようであれば、整形外科などで受診するとよいでしょう。
しびれを引き起こす原因には、脳の病気、脊髄の病気、手足の末梢神経の病気などがあります。同じしびれでも、長時間の正座やデスクワークなどで足がしびれるといった場合は、時間が経てば治ってしまうので心配はいりません。
一方、病気が原因で生じるしびれは要注意です。脳の血管が詰まったり、破れたり、腫瘍ができたりする脳の病気で起こるしびれ、脊椎の異常、頚椎や腰椎などの異常で神経が圧迫されることでしびれが生じることもあります。
とくに危険なしびれ、重大な病気が隠れている恐れがあるしびれについてまとめてみましたので、ぜひチェックしてみてください。
〈足のしびれや痛みと腰痛〉
足のしびれや痛みに腰痛が伴う場合は、椎間板ヘルニア、変形性腰椎症、骨粗しょう症などの疑いがあります。
〈左右どちらかに出るしびれ〉
左右一方だけにしびれ、麻痺、頭痛、めまい、ろれつが回らないといった症状を伴う場合は、脳卒中の疑いがあるので早急に内科で診てもらってください。
〈手の指が白くなるしびれ〉
冷えると手の指が白くなり、しびれる場合は、レイノー病が疑われます。レイノー病は発作的に四肢の末端に血行障害を起こす病気です。
〈左右対称に出るしびれ〉
左右対称的に末梢神経が冒される多発性神経炎の疑いがあります。化学物質や薬物、栄養障害、妊娠などが原因で起こりますが、もっとも多いのは糖尿病によるものです。
しびれにもさまざまな原因があり、病気が原因であることも少なくありません。基本的には病院で正しい診断と治療を受けることが大切ですが、ここでは手や足のピリピリした痛み、しびれを和らげるために自分でできる方法を紹介します。
・痛む部分を冷やす
しびれている部分を冷たい水を入れた洗面器に10分ほど浸します。チクチク、ピリピリする痛みが治まるまで浸しましょう。
・歩く
ピリピリした痛みやしびれを感じたら、短時間でもよいので部屋の中を歩き回りましょう。動き回ることで、手足のしびれを回復させる効果が期待できます。とくに長時間座っていたあとなどに行うとよいでしょう。
・つま先で立つ
足にしびれが出たときはつま先立ちをしてみましょう。つま先で立って、かかとを床につけます。これを10回ほど繰り返し、下半身の血行を促進します。足が頻繁にしびれる人は、これを毎晩寝る前に行うとよいでしょう。
・鉄分を摂る
鉄分が不足するとしびれや痛みの原因になります。卵や牛乳、ナッツ、えんどう豆、大豆、ほうれん草など鉄分が豊富に含まれる食品を積極的に摂るようにしましょう。
・コーヒーやお酒を控える
コーヒーやお酒、消化の悪いものをできるだけ避けるようにしましょう。
・緊張を和らげる
水泳やウォーキングなどの運動、ヨガなどのリラクゼーションセラピーを実践し、健康的な生活を送りましょう。とくに座ったまま、あるいは立ちっぱなしなど長時間同じ姿勢でいることをできるだけ避けることも大事です。また、血行をよくするため、体を締め付けない、ゆったりとした服を選ぶとよいでしょう。