辛い痛みを伴う捻挫は、日常のふとした動作によって引き起こされます。しかし捻挫という言葉は知っていても、具体的に捻挫がどのような状態かよく分からない人も多いのでは?今回は、捻挫と聞いて真っ先に思い浮かべるであろう「足首」の捻挫の具体的な状態とリハビリの方法をご紹介いたします。
簡単に捻挫になっている足首の状態を言葉で表現すると、足首の筋肉や骨が無理矢理曲げられている形です。足首の骨の周りには「靭帯」と呼ばれる筋肉があります。この靭帯は足首を支えるためには必要不可欠な筋肉ですが、この靭帯に無理な力がかかることにより伸びてしまったり損傷したりした状態を捻挫と言うのです。また捻挫で一番多いのが「内がえし捻挫」と呼ばれる捻挫。この捻挫はデリケートな外側の靭帯が切れたり伸びたりしてしまうことで、足首が内側に向かって曲がってしまう捻挫のことです。逆に内側の靭帯が切れてしまった捻挫のことは「外がえし捻挫」と呼ばれています。
どちらもひどい痛みを伴う怪我ですが、捻挫と骨折には違いがあります。腫れていないのに骨折と言われたり、大きなあざや腫れがあっても骨折ではなかったり、捻挫と骨折は症状だけでみると近しいところがあるので、レントゲンなどで詳しく検査しなければ判別することができません。では骨折と捻挫はどのような違いがあるのでしょうか?
まずは本人が歩いてみた感覚として、怪我をしてすぐに人の力を借りなくても4歩以上歩けるようであれば、レントゲンの必要はないと言われています。さらに他の人が触ってみたときに、小指の付け根と足裏のアーチが高い部分、内くるぶしと外くるぶしから6cm上の部分を触っても異常や強い痛みがないなら、骨折ではなく捻挫の可能性が高いです。しかしあくまで自主的な触診や検査なので、一度専門医に相談してみることをお勧めします。
捻挫は痛みの大小に関わらず、最初の処置が重要だと言われています。最初に誤った処置を行ったり放置してしまったりすると、痛みがうまくとれなかったり後遺症につながったりするリスクもあるためしっかりとした応急処置の方法を学んでおく必要があるのです。
1. 受傷者を安静にできるところに移動させましょう。足首に体重がかからないようにしてタオルや板きれで患部を固定します。
2. 凍傷防止のためにタオルを患部に敷いて氷のうや氷を入れた袋で患部を冷やします。しばらく氷を当てていると無感覚になりますが、無感覚になったら患部から氷を離し、感覚が戻ってくるようになったらまた冷やしましょう。
3. 患部にパットなどを当ててから、バンテージなど弾力性のあるテープを巻いて患部を圧迫します。圧迫しすぎると血流が止まってしまうので、肌の色や窮屈さなどをチェックしながら巻いてください。
4. 患部を心臓よりも高い位置に上げます。寝ているときであれば足首にクッションを敷いて高い位置で固定してください。
最初の処置を正しく行うことで、後遺症が残る可能性を減らすことができます。
先ほども述べたように、捻挫は適切な処置や治療を行わないと後遺症が残る可能性があります。そのための適切な処置の1つがリハビリです。ただ、いつからリハビリを始めるべきか迷いますよね。
リハビリを開始する目安は捻挫の炎症が治まってきた頃です。炎症や痛みが残っている間に無理に動かすと、足首に大きな負担になります。捻挫が治るまでの期間としては軽いものだと4週間から8週間、重度の場合は12週間と言われています。この間に筋肉が弱まったり硬くなったりしてしまうので、リハビリは治った後の筋肉を鍛えるためにも行った方がよいでしょう。
では家でできる捻挫のリハビリとは何があるのでしょうか?家で簡単にできるリハビリ方法をご紹介します。
・足でじゃんけん
簡単ですぐにできる足だけでじゃんけんするリハビリ方法です。
1. 足の指でグーを作って5秒キープします。
2. 足の指でチョキを作って5秒キープします。(足の指が1本でも立っていればOK)
3. 足の指でパーを作って5秒キープします。
・足の指を90度曲げる
捻挫をする人は靭帯だけでなく足裏が硬くなっていることが多く足裏の筋肉のトレーニングも行う必要があります。足の負担を軽くするために手を使って行うとやりやすくなります。
1. 捻挫した足を反対側の膝に乗っけて、足先とかかと部分を両手でしっかりと持ちます。
2. 手を使って足の指を上側に90度ほど曲げます。
3. よりしっかり鍛えるのであれば、足の指を一本ずつ90度に曲げていくといいでしょう。
捻挫グセとはその言葉の通り、同じ場所を何度も捻挫してしまうことを言います。捻挫グセの原因は正しい処置が行われていなかった、治療により長い期間固定してしまったことで筋肉が硬くなってしまった、損傷してしまった部分が癒着してしまった、など捻挫した後の処置に問題がある場合がほとんどです。さらに言えば、捻挫の根本的な理由が見つけられてないため捻挫を繰り返している、という可能性もあります。足首の捻挫の場合、足裏や足の指の筋肉が硬い状態になっている人が多く、足裏の筋肉が硬いと地面からの衝撃を受け止めきれません。その衝撃が足首周りやふくらはぎに伝わってしまい、負担がかかり知らず知らずのうちに捻挫状態に陥っているということもあるのです。とくにヒールを履く機会が多い人は、慢性的な捻挫になっている人も多いといいます。単純に足首の調子が悪いと思っている人も、捻挫グセに悩んでいる人も、一度整体や病院などで相談してみることをお勧めします。