腰にくるズキーンとした痛みやズシリと重い感じ...、大変ですよね。人間の中で一番負担がかかっている箇所が腰だと言われており、自覚している体の悩みで腰痛は男性の第1位、女性の第2位となっています。この悩みの種である腰痛、筋肉が原因であっても骨が原因であっても腰の痛みはすべて「腰痛」と呼んでいます。そのため「実はその腰痛の原因はもっと大きな疾患だった!」ということもありえます。
辛い腰痛を引き起こす疾患には何があるのでしょうか?腰痛の原因となる疾患と、温めるか冷やすか迷ってしまいがちな腰痛への対応策をご紹介します。
〈緊張性腰痛〉
筋肉などに過度な負担がかかってしまうことで、腰回りの筋肉が緊張して起こる腰痛です。緊張によって崩れたバランスを整えるために腰に力が入ってしまうことで慢性化します。
〈心因性腰痛〉
精神的な疾患や心が少し落ち着かないときなどに起こる腰痛です。治療の際には腰痛の痛み止めを利用するほか、悩みや心配事を聞いてもらうなど心の不調へのアプローチも行われます。
〈急性腰痛症〉
世間で言われる「ぎっくり腰」の名称です。急にやってくることから欧米では「魔女の一撃」とも呼ばれています。原因は急な動作をしたときに骨や筋肉が傷ついた、またはもともと年齢や疲労などで体に溜まっていたダメージがその場で出てきたなど様々です。
〈椎間板ヘルニア〉
ブロックが積み木のようにつながっている背骨。この背骨ブロックの間にあるクッションが飛び出てしまった状態のことです。悪化していく過程で腰痛以外にも様々な症状があり、肩こりや手のしびれ、目の奥が痛いなどの症状があらわれます。
〈腰椎変形すべり症〉
積み木のようにつながっている腰椎が滑り出すことで、腰椎にある穴が狭くなり神経が圧迫される病気です。腰痛のほか、長距離を歩くとしびれが出てきてしまう場合は要注意。基本はコルセットでの治療が行われますが、重症の場合は外科手術も行われます。
〈坐骨神経痛〉
人体の中で最も太く腰から太ももまでつながっていると言われている坐骨神経が圧迫されることで起こる腰痛です。坐骨神経痛そのものが疾患ではなく、筋肉や骨などが坐骨神経を圧迫した際に起こる痛み全体のことを指します。
腰痛を引き起こす代表的な疾患をご紹介しました。ここに紹介されていない疾患もあるので、腰痛の痛みや腰の違和感など、不安な要素があるのならできるだけ早く病院で検査してもらうことをお勧めします。
腰痛が起きた時に温めた方がいいの?それとも冷やした方がいいの?と悩むことは多いと思います。その判断の基準は、慢性的なものか急性のものか、ということ。以前から気になっていたり、数日間続いていたりする腰痛であれば温める対応を行いましょう。気候によって左右されるものや、以前から車に長時間乗ると...など「原因ははっきりしないけど、長期間悩まされている」というものも温める腰痛に入ります。慢性的な腰痛の主な原因は血行不良。この血行不良を改善するために温めた方がよいのです。
腰を温めるなら、温湿布の出番では?と考えますよね。しかし温湿布の暖かさは唐辛子成分のおかげです。そのため、腰痛が改善されるほどの血行促進ができるかは怪しいと言われています。温めるのであれば実際に温度が上がる、貼るカイロを用いるのがおすすめです。湿布は温める目的として使わず「痛み止め」として用いる方が良いでしょう。
また、腰をサポートする「コルセット」をご存知でしょうか。コルセットは腰周りの筋肉や骨の負担を少なくしながら腰を正しい姿勢にさせるのが目的ですが、見た目や通気性にこだわった薄いコルセットでも、布一枚あることで腰を温める効果があります。慢性的な腰痛が長く続くのであれば、薬局に売られている腰痛改善用のコルセットを利用するのも手段の一つです。
逆に冷やした方がいい腰痛は、ぎっくり腰や腰の捻挫などの急性の腰痛です。特に前触れもなく痛くなった、腰を捻ってしまった、といった腰痛が急性の腰痛にあたります。つまり急性の腰痛は炎症を起こしている状態。炎症を起こしている患部を温めてしまうと痛みがひどくなりますので、絶対に行わないようにしてください。
炎症を抑えるためには「アイシング」という処置を行います。腰を動かさないようにしながら、氷のうを患部にあて冷やしましょう。できることであれば動かず安静にしていた方がよいのですが、どうしても動かなければいけない時は「アイシングサポーター」などを利用してもいいと思います。ただ冷やしすぎも凍傷などを引き起こすので注意が必要です。
3日間ほど冷やす処置を続けたら、それ以降の4日間は温める処置を行ってください。それでも痛みがひかないのであれば、病院や整体院などの腰痛に詳しい医療機関への相談をお勧めします。また腰周りの筋肉だけはなく骨の異常も疑ってください。