昔と比べると座り仕事をしている人が多くなってきたため、若年層の人にも増えてきた腰痛。腰痛の改善には腰の近くにある筋肉、腹筋や背筋を鍛えることが重要だと言われています。しかし若年層の腰痛の原因の多くは運動不足。そんな運動不足の人からしたら、いきなり腹筋や背筋の筋トレを続ける、なんてハードルが高く感じますよね。
実は腹筋や背筋以外でも腰痛の改善ができる筋肉があります。それが骨盤から太ももの裏にある「ハムストリング」という筋肉。この筋肉は普段の生活では立ってしゃがむ、しゃがんだ状態から立ち上がる、他にも走るなどの、あらゆる動作で使われています。ではなぜ太ももの筋肉が腰痛改善に役立つのでしょうか?
腰痛とは一見関係ないように感じる太ももの筋肉は、腹筋や背筋と違い鍛えるのではなく、柔軟体操を行って柔らかくすることが必要です。
実は長年の癖や座り仕事は、ハムストリングを含め太ももの筋肉が硬くさせます。太ももの筋肉が硬いと座った時に骨盤が柔軟に動いてくれないので、長時間座っている人はとくに辛い腰痛を引き起こしがちに。そこで、ハムストリングをストレッチでほぐして柔軟にすることで、骨盤の可動範囲を広げて腰にかかる負担を少なくしてあげましょう。
加齢や運動不足は非常に多い腰痛の原因ですが、若年層にとっての一番の原因は悪い姿勢を続けていることです。背中全体を丸めてだらりと座っていませんか?パッと見た印象は力の抜けた状態に見えますが、実は背中を丸めたあの体勢は太ももの裏だけではなく体中の筋肉にとても負担をかけている姿勢です。「自分の姿勢が悪くなっている」と感じたときは、まず背筋を伸ばしたきちんとした姿勢で座ってみましょう。最初のうちは継続するのが大変かもしれませんが、その姿勢をキープするだけでも体や腰への負担が軽くなり、腰痛改善が見込めます。
「自分の太もも裏は硬くなっているのかな?」と疑問に感じたら太もも裏の硬さをチェックしてみましょう。チェックすることで自分の腰痛には本当に太もも裏のストレッチが必要なのか、それともまた別の原因なのか確認することができます。また自分の柔軟性の限界を、ストレッチの開始前に知っておくことで続けるモチベーションも保たれますよ。
柔軟チェックの方法は小学校や中学校などで行った前屈と一緒です。怪我をしないためにもきちんと正しい手順を振り返ってみましょう。
1、両足のかかとをぴったりくっつけた状態で直立します。
2、両手の指を揃えます。
3、膝を曲げず痛くない場所まで両手を床につけてください。
4、立ちくらみやめまいが起きないようにゆっくりと立ち上がってください。
硬め=太ももから膝ぐらいの高さまで
柔らかめ=すねぐらいの高さから床に手がつくまで
前屈のポイントは痛みが起きる手前で止めること。無理やり前屈を行うと筋肉や腰を痛める原因になります。
自分の太もも裏が硬いなと感じたら、太股の裏を柔らかくするための柔軟ストレッチをしましょう。柔軟ストレッチのコツは「とにかく無理をしないこと」です。筋肉を伸ばすストレッチなので、無理な柔軟は筋肉を傷つける危険性があります。痛みを感じたらストレッチをやめて休憩してください。
入浴後にそろそろ寝よう...と思ったとき、つまり寝る前にできる太もも裏のストレッチです。体がぽかぽかしている風呂上がりは体がリラックスしているため柔軟に最適。入浴→ストレッチ→就寝というリズムを作ると寝付きもよくなるのでお勧めです。
1、仰向けになりお尻の下に枕やクッションなどを敷きます。
2、膝をゆっくりと胸に近づけ、軽くお尻を浮かせます。
3、20秒間キープします。
4、ゆっくりと元に戻した後、もう一度行います。
ゆっくりと呼吸をしながら行うと、柔軟がしやすくなるだけでなく呼吸が整ってリラックス効果アップです。
何も用意しなくても、ちょっとした空き時間にできるストレッチです。ちょっとした家事のスキマ時間やトイレの中など自然と1人になれる場所で試してみてください。
1、両足を肩幅ほど広げます。
2、片脚を前に出して、おへそと太股がくっつくような感覚で上体を倒します。
3、30秒間キープしたあと、反対の足も行ってください。
上体を倒した段階で太もも裏が伸びてくる感覚があるので、ゆっくりと呼吸しながら30秒間伸ばしましょう。
足をしっかり開いて行うストレッチです。しっかり太股の裏が伸びていく感覚があります。
1、両足を膝が曲がるぐらいまで広めに開き、つま先は外側に向けます。
2、手を膝につきます。
3、右肩を両足の内側に入れるようにひねってください。この時に太股裏が伸びていく感覚があります。
腰痛改善に太股裏の柔軟をする、という少し意外な方法をご紹介しました。しかし、いくら柔軟をしていても普段の姿勢が悪いと台無しに。柔軟しているから大丈夫と過信をせず、柔軟に加えて普段から姿勢に気をつけて生活すると少しずつ腰痛が改善されていくでしょう。